【Album Review】Daughters - You Won't Get What You Want【Rock】


パレイドリアのようなアートワークに少々びっくりさせられるこのDaughtersの4thアルバムを端的に表すなら非常に暴力的で、騒々しく、終末論的な内容になっていると感じる。

 どこを聴き渡しても、暴力的なノイズが洪水のように流れており、このアルバムが如何に尖った内容であるのかというのを痛いほど知らされる。


 最初のトラック、「City Song」はこのアルバムの全体像を手っ取り早く知るのに相応しい曲で、アレクシス・マーシャルの生気のない歌い方や叫び声、銃声のようなバスドラムとスネア、それを取り囲むような騒々しいノイズが特徴的な曲。

 「This city is an empty glass(この街は空っぽのグラスだ)」という詩が延々と繰り返され、終盤になると突然それまでの要素が消え、電子的なノイズ音が入り込み、先程よりも暴力性が増されて曲が再開し、アレクシスの独白で突如曲は終わる。


 その他の曲も前例が見当たらないほど暴力的な曲となっているが、個人的に特に好きな曲が6トラック目の「Less Sex」。

 アレクシスのボーカルに呼応している特徴的なリフレインや、無機質なドラム、ミニマルながらも不穏な歌詞、突如暴力的になる展開などが良い具合に絡み合っている曲で、暴力性という面では他の曲よりも劣るのかもしれないが、かなり強力で、今作の曲の中でも一番衝撃性のある曲になっていると個人的に感じる。


 いずれにしろ、全曲に渡って暴力的かつ絶望的な感覚を感じさせられ、趣向的にはSwans「The Seer」に似ているような気もするが、引けを全く取っていないどころか、十分勝負できるぐらいの暴力性をこの作品からは感じさせられる。


 少々センシティブな話ではあるが、ボーカリストのアレクシス・マーシャルは元恋人のLingua Ignotaことクリスティン・ヘイターを虐待していたとの疑惑があるらしい。

 それを考慮したとしとも、しなかったとしても、この作品が前例のないほど暴力的に仕上がっているのには変わりないと個人的に思う。



1.City Song - 8/10
2.Long Road, No Turns - 9/10
3.Satan in the Wait - 10/10
4.The Flammable Man - 7/10
5.The Lord Song - 9/10
6.Less Sex - 10/10
7.Daughter - 8/10
8.The Reason They Hate Me - 9/10
9.Ocean Song - 8/10
10.Guest House - 10/10

Mowl's Listen Log

その日に聴いた音楽について色々と書きます。 あくまでも自分の主観に基づいているので、アテにはしないでください。 気になったら自分で聞いてどうだったかを確かめてみるのが一番だと個人的には思います。

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